電子帳簿・スキャナ保存制度の抜本的見直し(R3税制改正)

令和3年度の税制改正で「電子帳簿保存制度」が見直されます。

改正前までは、税務署長による事前承認が必要でしたのでそれだけで敬遠されてしまいこの制度が利用されにくいものになっていたような印象がありましたが、事前承認の廃止でだいぶハードルが下がるように感じます。

また、今までは紙原本による保存が必要でしたが、紙に印刷しての保存は不要となりました。これにより原本をスキャンして保存後直ちに原本の廃棄が可能になります。だいぶ簡素化されますね。紙での保存が必要なくなるのであれば、事業者の皆様も会計事務所も効率化がはかられると思います。

タイムスタンプ付与までの期間も2か月以内とされ、訂正削除履歴の残るクラウドに最長2か月以内に格納する場合には、タイムスタンプそのものも不要になります。内部統制要件とされていた相互牽制(2名以上での事務処理)や書類への自署、定期検査(原本データの突合作業)などはすべて廃止されます。

だいぶ時間がかかりましたが今回の改正で電子化への動きは一層加速するものと思われます。

財務相 「令和3年度税制改正」(納税環境整備)

税務関係書類への押印の廃止

令和3年4月1日以降、一定の税務関係書類には押印は要しないこととなりました。

国税庁:「税務署窓口における押印の取扱いについて」

税理士の実務においては、納税者に税務書類に押印を頂くことで、納税者ご本人にその申告書の内容を確認し申告内容について了承いただいたことの証でもありました。よって、押印がなくなりますと申告内容についてご了承いただいたことの証明の方法をどうするかということがテーマになるのではないかと思います。当事務所内におきましては事務所内部資料としてご署名ご捺印を頂いておりますが、今後はクラウドサインなどを利用して電子化していくことも現在検討しておりまして早期に取り入れる予定でございます。一部で試行中です。

固定資産税の減免措置(新型コロナ税特法)申請期限は令和3年1月末です。

中小企業庁は新型コロナウイルスの影響で事業収入が減少した事業者に対して令和3年度の固定資産税を減免する措置をとりました。

参考資料 中小企業庁固定資産税の減免について

減免の対象は最大で固定資産税の全額になりますので事業者の方で要件を満たす方は申請したいですね。

申請受付は令和3年1月31日となっているようです。今月末までですので注意が必要かと思います。

給与所得控除の縮小をご存じですか?

給与所得控除が縮小される改正があったことは皆さまご存じでしょうか?給与所得控除とは給与収入がある方がその収入から控除できる概算経費のことです。サラリーマンの方が営業のためにたくさんスーツを買われても、一年間一着のスーツで営業しても実態に関わらず同じ収入であれば一定額が控除されてまいりました。この概算経費が縮小されるたのです。単純に申し上げますと経費が少なくなるわけですから、税負担は増えます。

社会保険料が増加したり、消費税率が上昇すると増税感はつよく納税者の皆様の反応も早いように感じます。しかし、給与所得控除という概算経費の縮小には反応はそんなに強くないように感じます。例えば以前65万円は最低でも控除できていたものが55万円に縮小されますと、サラリーマンやパート労働者一人当たり10万円ですから、国民全体では相当な増税になりますね。縮小という言葉に気をとられると増税であることに気づかない場合もありそうです。物価が上がれば給与所得控除も連動して金額が増えるという考え方も一つのように思いますが、この給与所得控除の縮小の理由を調べてみたいものですね。

給与所得控除の縮小と変遷 国税庁 

税制改正 金融所得課税

2月25日の衆院財務金融委員会で金融担当相は上場株式の譲渡益や配当等への課税、いわゆる金融所得課税について、税率の引上げに向けた検討がされるであろうとの見方が示されました(「税のしるべ」大蔵財務協会より)。

現状では金融所得課税には20%(所得税15%、住民税5%)が適用されておりますが、ここに改正がなされるのでしょうか?

株の売買を頻繁に行ったり毎年配当金をうけている納税者の抵抗はありそうですね。

金融所得課税強化見送りに関する記事:https://www.jiji.com/jc/article?k=2019101701380&g=eco